ミッションオイルの役割とは?
更新日:2022.05.03
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車を動かすためにオイルはさまざまな役割を担っています。
ブレーキの油圧やエンジン、パワーステアリングなどの潤滑、冷却。
もちろん、エンジンパワーのトルクをコントロールするトランスミッションにも不可欠。
トランスミッションに使われるオイルの役割や交換時期などを解説します。
過酷な作業環境のトランスミッション
トランスミッションを日本語で言うと変速機。
エンジンのパワーを走行状況に合わせて的確に配分するための機器です。
ガソリンを使って動く車には、すべてトランスミッションが搭載されています。
この機能、変速機付き自転車に例えると分かりやすいでしょう。
発進する時や坂道を登る時は大きいギアでペダルを踏む力を効率良くタイヤに伝えます。
平坦な道では小さいギアを使うことで速く走ることができますね。
車のトランスミッションも基本的に同じです。
エンジンとドライブシャフトの間にあり、内部には大小さまざまなギアが組み込まれています。
これらのギアをフルに使うことで力強く、滑らかな走行が可能になるのです。
走行中、ギアは頻繁に変わるので頑丈な金属で作られています。
しかし、何万回もギアチェンジすれば金属の摩耗は必至。
その摩耗を防ぎ、つねに滑らかな変速を行うための潤滑剤がミッションオイルなのです。
なお、電気自動車にはトランスミッションが搭載されていません。
しかしモーターのパワーを効率良く伝達するためのリダクションギアが装備されています。
これも内部にはギアが組み込まれているので専用オイルが必要となります。
劣化を招くミッションオイル内の金属粉
マニュアルシフト(MT)車はトランスミッションのギアを任意で選べます。
MT車で重要なのがクラッチ。
エンジンとトランスミッションの間にあり、パワーをトランスミッションに伝達しています。
クラッチペダルを踏むとパワーが遮断されるので、ギアチェンジが可能になります。
MT車のミッションオイルは主に潤滑を役割としています。
しかしギアチェンジの頻度が高くなるとオイルとしての機能が低下、細かな金属粉が出ます。
そのため、MT車のミッションオイルは定期的に交換しなければなりません。
交換時期は頻度にもよりますが、2〜3万kmが目安です。
オートマチック(AT)車にはクラッチがありません。
代わりにあるのがトルクコンバーターというパーツ。
エンジンのパワーをオイルの流体特性で受け止め、トランスミッションに伝達する仕組みです。
トルクコンバーターはパワーを完全に遮断するわけではありません。
だからDレンジでアクセルを離していてもクリープ現象(ゆっくり進む)が起きるわけですね。
トルクコンバーターに使われているオイルはATFと呼ばれます。
ATFはオートマチック・トランスミッション・フルードの略。
フルード(fluid)とは流動体という意味で、油圧制御関連のオイルを指します。
ブレーキやパワーステアリングのオイルも呼称はフルードですね。
ATFはエンジンオイルのように減ることはありません。
しかしMT車と同じくトルクコンバーター内の金属粉や熱によって劣化します。
AT車もATFの交換を必要としますが、その交換時期が少々、厄介なのです。
2万kmを超えたらATFの交換は慎重に
ATFの交換時期は2万kmが推奨されています。
ただし、2万kmを超えたからといってすぐに不具合が発生するわけではありません。
MT車と同じように金属粉は発生しますが、MT車と異なるのはフィルターがあること。
ATFは油圧作動の他、金属粉をフィルターに運ぶ清浄作用もあるのです。
とはいえ、長く乗るほど清浄作用が衰えてくるので金属粉はトルクコンバーター内に付着します。
金属粉は付着している限り、悪影響を及ぼすことはほとんどありません。
問題が起きるのは金属粉が付着するほど経年のATFを交換する時。
内部を洗浄しないで新しいATFに交換すると金属粉が剥離してオイル内に浮遊します。
結果、金属粉がトルクコンバーター内のパーツに接触して不具合を起こすわけですね。
5〜6万km走行後、ATFを交換したら故障した、というケースの原因はコレ。
ATFを交換する際は、信頼できる専門業者へ依頼することをおすすめします。
ミッションオイルやATFの交換はプロに任せる
ミッションオイルやATFを交換する理由はトランスミッションの不具合を防ぐため。
MT車はギアが入りにくくなったりギア鳴りを起こしたり。
AT車は変速ショックが大きくなったりタイムロスが発生したり。
どちらも最悪の場合、走行不能に陥ることもあります。
修理を必要とする前に交換することが愛車を守る鉄則。
とくにAT車はトルクコンバーターのオーバーホールだけでも20万円以上かかります。
ATFの交換は車種にもよりますが、相場は1〜3万円程度。
不必要な出費を避けるためにも交換時期をきちんと守った方が賢明ですね。
心配なのは前述したように交換によって発生する不具合。
ATFは交換に専用機材を必要とするのでDIYで作業するのはとても困難です。
したがってATFの交換は専門業者に依頼するのがベスト。
信頼できる業者であれば交換時期や交換方法について詳しく説明してくれます。
ATF無交換で5〜6年経過している車種は、まず専門業者に相談しましょう。
ミッションオイルやATFを定期的に交換し、安心のカーライフを送ってください。
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中山裕貴(PRO SHOP八尾店 施工技術マネージャー)
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